生まれ育った土地というものは誰にでもあるものです。それは「故郷」といいます。その故郷を離れて新天地に向かうことも、人生の一コマでしょう。

そのような新天地への移動のなかでも、地方から東京に移ることを「上京」といいます。人によってはまったく環境が変わることになります。東京はいわゆる「都会」です。田舎で育った人にとっては「都会」は可能性のかたまりのように感じられるでしょう。それまで「田舎にいたからできなかったこと」というものが、都会ではいともたやすく可能になるかもしれないのです。

都会に対する私たちの感覚はさまざまです。ただ、日本の中心である東京には、確かに地方にはないものがたくさんあるでしょう。それに恋い焦がれていた人にとっては、その可能性こそが上京する理由でもあるのです。ただ、そう簡単に済む土地を変えるわけにはいかないのが私たちの実際です。実際はそのように簡単に住居を変えてしまうのではなくて、何かの「理由」、「きっかけ」をもって移り住むことが多いでしょう。

その中の理由の1つとしてもっとも身近なものが「進学」です。それは高校を卒業して、選んだ大学やその他の学校が東京にあるということです。その学校に通うためには、移り住む必要があるから、家族の協力も得て引っ越すというケースです。これがもっともスムーズで「理由」もある上京のカタチです。それまでの暮らしを捨て、自分が東京で学ぶこと、成すことを見据え、上京するのです。そこから先は自分次第でどうにでも暮らしを変えることができる、そこから先は自分次第でどうとでもなる。新しい人間関係も、自分を人に対してどのように見せるのかということも、すべてが自分次第であるのです。

そのように住むところを変えれば、それまで抑圧されていたものや自分の「価値観」というものを新しく持つことができます。気分も一新して、自分がずっとやりたかったこと、ずっと価値を感じていた「チャレンジ」を突き進めることができるのです。そのように「環境を変える」ということは私たちにとって意味のあるもので、住む場所を変えるだけで気持ちをリフレッシュさせることもできるのです。

ただ、東京に出るということは他の「引っ越し」とはまた違った意味を持っていることかもしれません。日本一の大都会に翻弄されるか、それともこの日本一の大都会を上手に活用するか、それは自分次第です。この東京という土地にはあまりにも人が多すぎて、時には自分を見失うようなこともあるかもしれません。あまりにも人が多すぎて、自分が本当は何を目指していたのかということを見失ってしまうかもしれません。何事も同じではあるのですが、自分の中にしっかりとした「芯」を持つことが大切なのかもしれません。誰も壊すことができない確固とした「芯」を持つこと、それがこの大都会で生き抜くチカラになるでしょう。東京はそれほどまでに魅力を持った場所でもあるということです。