実家から離れる場合
「進学」というものは「心機一転」のためのターニングポイントになるものです。小学校に就学して以来、中学進学、高校進学と、私たちは別れと出会いを繰り返してきたものです。
そのようなイベントの中でも高校を卒業してからの自分の進路というものは、「本当に自分が選んだもの」であるべきです。ただなんとなく大学へ行くことにした人であっても、ただなんとなく働くことにした人であっても、それは「自分で選んだこと」として認識している必要があるでしょう。「やらされている」という感覚が通用するのは高校生までです。自分がその道を選んだという自覚と、「何をする」という「意志」がそこになければ何事も大成させることはできないものです。自分が本当にしたいこと、自分が本当に成りたいもの、そのような将来に対するビジョンというものはしっかりと持っておくべきなのです。それがない人は何事も成すことができません。それがない人は何も出来ないまま、ただ流されるだけになってしまうのです。
ほとんどの人が高校生時代までは「実家」に住んでいたのではないでしょうか。保護者の元、何不自由なく暮らしていたのではないでしょうか。そのような状態から自分ひとりで暮らす環境に一気に変わることは一種の試練でもあります。それまで当たり前のように洗濯してくれていた母はいない。家に帰っても食事が用意されているわけではない。くだらないことを言い合える家族という「自分の居場所」から離れて生活をはじめるということは、最初はなんともいえない寂しさを感じることになるでしょう。
それまでは「ひとりで暮らしたい」、「自立したい」と考えていたかもしれませんが、いざ実際にそうなってみると全然イメージしていたものとは違うということがわかるでしょう。誰も何も片付けてくれないというリアル、日々のゴミ出しの重要さ、洗い物の面倒さ、洗濯にかかる時間、ただ生活するだけでも大変なことが数多くあるということがわかるはずです。
それまで「当たり前」と思っていたことがそれからは当たり前ではなくなります。整った生活、安定した暮らしを送るためには、自分でどうにかするしかないということがわかるはずです。一人暮らしというものは、ただ楽しいだけではありません。一人暮らしとは、自分の健康も含めて、自分の暮らしを自分で作り上げる必要がある一大事なのです。
最初の頃はそのような感覚に馴れないかもしれません。何よりもメンタル的に「寂しさ」を感じてしまうかもしれません。ただ、そのような感覚もいつかは馴れてしまうものです。その時感じた「家族から離れる寂しさ」という感覚、それは大切に記憶しておいた方がいいでしょう。そこから先、もう家族と一緒に暮らすことはないかもしれないのです。これから先、「寂しい」と感じることがないかもしれないのです。それは自分が成長するということではあるのですが、家族と離れる寂しさ、自分は「巣立った」という現実を、しっかりと受け止めましょう。