帰省の頻度はどれくらいか
自分が暮らしていた土地を離れて上京するということは、それまで毎日いっしょに暮らしてきた「家族」から離れるということです。進学によってそのような状況に至る場合は、それは「独り立ち」への第一歩となるでしょう。
別にずっと実家で暮らしてはいけない、という法律はありません。どこでどのようにして暮らそうと、その人の自由です。どのような場所でどのような生活を手にしようと、その人の自由なのです。ただ、子どもであっても誰もが大人になります。時間の流れは万人に対して平等です。誰に対しても等しい時間の流れが訪れて、何かをしていても、何もしなくても、時間はただ過ぎていくものなのです。
人によっては、早く大人になりたいと願うかもしれません。人によってはずっと子どものままでいたいと思うかもしれません。その時の自分の生活に満足していて、「変わること」が恐ろしいと感じている人もいれば、「今」がどうしても嫌で、その境遇が時間の経過によって解消されるのであれば「早く時間が過ぎてほしい」と願う場合もあるでしょう。そのようなさまざまな思惑を持ったさまざまな人に対して、それらすべての人に対して、時間は等しく流れるものなのです。それが「世の中の摂理」です。
そのようにして気がつけば人として成長していた自分、気がつけば人として成長していて、自立していた自分。大人になればなるほど毎日の時間の流れ方が早く感じられて、めまぐるしい毎日を過ごしている自分。実家を飛び出して自分の道を見つけたものの、それからずっと学業や仕事にかまけてなかなか帰省できていないという人もいるでしょう。
これは大人になればなるほど顕著です。実は家を飛び出してひとり暮らしを始めた直後、それが進学に伴うものであれば、学生の頃は度々帰省するものなのです。少し休みがある度に帰省する、少し時間ができるたびに帰省する、気丈に振る舞っていても、なんだかんだ学生の頃はまだ「子ども」なのかもしれません。
これが全然実家に帰らなくなるのは「大人」になって働き始めてからでしょう。仕事をし始めると、嫌でも社会に参画することになります。社会に参画することで、自分がそのとき成すべきこと、背負っている責任などを感じずにはいられません。そのような「大人」として過ごしていると、ついつい実家に帰らなくなってしまうものなのです。それが実際で、それが現実です。ですから、大人になればなるほど実家から疎遠になると考えてください。嫌でもそうなってしまうのですから、帰れる時には帰ってあげてください。実の両親が自分の子の帰省を喜ばないはずがないのです。自分の子が帰ってくることに対して嫌悪するわけがないということです。
社会的責任を背負えば、嫌でも自分の自由になる時間は減ります。その時にはもう「帰りたいけれど帰れない」ということになっているかもしれないのです。そうなる前に、帰れるときには帰って、親孝行した方がいいのではないでしょうか。