都会の出勤ラッシュとは

東京のような都会では独特のマナーがあります。例えば「駅のエスカレーターは片側を空ける」などといったものです。それらのマナーは常に人で溢れている東京の交通事情によるものです。

平日、私たちは働くことが多いものです。または学生であれば学校に通っているものです。通う先が自宅から歩いて行けるような場所にある人はいいのです。ただ、そうではない場合がほとんどです。そんなにうまく自宅から近い場所で働けるものでもありません。学校に近くに住めるわけではありません。大学の場合は3年次からキャンパスの場所が変わるなどということもあります。

学校の場所、勤め先の場所に応じて住居を変えるということもできなくはありません。ただ、働いてみるとわかるのですが勤務先が新宿や渋谷、六本木などのいわゆる中心地である場合、その付近に住居を構えることはすこしナンセンスなのです。都心になればなるほど家賃は高くなります。勤め先が都心であっても都下であっても、実際の給与はたいして変わりません。それなのに勤め先に合わせて住居を選んでいたのでは非効率ということです。

都会には「ベッドタウン」というものがあります。東京の場合は東京の都下、千葉、埼玉、神奈川などがそれに相当します。つまり、住居はそちらに構えておいて、そこから「通う」ということです。そのため、平日の朝方はそれらの地域から都心に乗り入れる路線、さらには道路も非常に混雑するのです。

それが東京の日常、「通勤ラッシュ」です。通勤時の電車から、逆路線、つまり「下り」の電車を見てみるとよくわかります。ガラガラなのです。都心から都下に通う人はあまりいないのです。東京で暮らすのであれば、その「通勤ラッシュ」をまずは理解しておく必要があるでしょう。朝の電車の込み方は地方の比ではないということです。朝のラッシュ時には身動きがとれないほど電車は混みます。それでもまだ、各駅からは人が乗ってくるのです。駅員が乗りきれない人を電車に押し込む光景も日常のものです。

加えてよく見られるのが混み過ぎた電車に辟易して「貧血」などを引き起こす人もよく見られます。そのような日常の光景をいちいち気にしなくなっているのが「東京の人」であるということです。

そのようなことを鑑みて、「住居」に関しては職場にたどり着きやすい路線沿いを選ぶことが通例です。駅から何分の場所、そして自宅の最寄り駅から勤め先の最寄り駅までの時間を計算して、ライフサイクルが決定するのです。そのようなことを考えて住居を選ぶのが都会での住まい探しです。

「通勤ラッシュ」に馴れること。これが都会で暮らすための第一歩でしょう。そしてそれを「日常」にすることができなければ、いつまでたっても都会に馴染むことはできないのです。人がたくさんいる場所で暮らしていくことの宿命といってもいいでしょう。通勤ラッシュは誰でも経験しなければいけない、朝の洗礼なのです。